ミッション1、情報を集めろ
「立花先生」
「はい、なんでしょう」
「先生は好きな人いるんですか?」
「…質問が急ですね」
「…あ、ごめんなさい。見ず知らずの生徒に急にそんな質問をされても困りますよね。あたし石井って言います。3年3組の」
「3年3組?ということは確か私の担当クラスではないですね」
「そうですね、はじめましてですけど、先生が生徒から結構好かれてるって噂はかねがね伺ってます」
「ほう?そんな噂は初耳ですが…」
「だから先生は好きな人いるのかちょっと気になって。単純な好奇心です」
「好きな人、ねえ…まあ、なんと言いますか。そもそも私には妻と子どもがいますから、他に好きな人はいませんね」
「妻子持ちでしたか…」
「ええ。それがなにか?意外でしたか?」
「意外というか、そうだろうなとは思ってました」
「?」
「もう一つ質問したいんですけど…最近、何か感じませんか?学校で違和感みたいなのとか…ありません?」
「違和感ですか?……うーん」
「…」
「特に、ないですね」
「ないですか」
「ないです。…何かあるんですか?」
「いえありません、何も」
「ありませんか」
「はい」
「それなら良いんですが」
「……そう、ですね」
「?」
「先生は浦田って知ってます?」
「ウラタさん?さあ、申し訳ないですが存じ上げませんね」
「あたしの友達なんですけど、温かくて可愛くていい奴なんですよ。だけど友達の少ない寂しい子だから、今度会ったら良くしてやってください」
「面識がないので何とも言えませんけど、先生としては生徒と関わる機会が増えるのは嬉しい限りですよ。きっと良い子なんでしょうね。こちらからよろしくしたいくらいです」
「……浦田が好きになるのもわかりますね。優しいひと」
「え?何か言いました?」
「何でもないです!じゃあ先生、またそのときはよろしくお願いしますね」
「石井、先生となにはなじでだの…」
「何話してたって、あんたが先生に探り入れろって言ったんでしょ。それ以外何もしてないよ、浦田」
「だってぇ…先生と石井が楽しそうにしてるのを見るとこう、もやもやして…2人に嫉妬しちゃう」
「…たまにあんたが可愛いって思うわ」
「可愛かったら物影から先生をガン見したり、先生の後うろちょろしたりしません~」
「大丈夫!先生あんたのこと全く眼中にないから」
「石井さん!?サラッと爆弾発言するのやめませんか!?」
「ま。ちょっと話すぐらいならいいんじゃない」
「他人事だと思ってテキトーなこと言う~~本気だからね私は!」
「はいはい」